ラジオ体操ヲタク

 私はクラッシク音楽が好きだ。クラシックを聴くようになる前までは、奏者や指揮者によって音楽が変わるということがあるのだろうか、と思っていた。今ではそれが愚問であることが分かる。人間がやることだ。誰がやっても同じであるはずがない。同じ曲を奏者を変えて何度も聴いてみたらすぐに分かることである。
 今日書くことは、そのことがよくわかる例である。ちょっとヘンタイ的な文であることをお断りしておく(笑)。

ラジオ体操のおもしろさ

 私は自動車を運転するとき、NHK第2放送を流しっぱなしにしている。理由はいろいろあるのだが、その開陳はまたの機会に譲ろうと思う。
 NHK第2放送では一日3回、定時にラジオ体操が流れる。演奏者は3人が輪番でつとめている。幅しげみ、加藤由美子、名川太郎の3人である。誰の演奏であったのかは番組の最後にならないと分からない。「ピアノ伴奏は○○」と最後の最後に明かされるのだ。私はこの演奏の奏者をできるだけ早い段階で聴き分けるのを楽しみにしている。当然同じ曲だが、奏者の奏でるピアノ伴奏に特徴がある。(それぞれのプロフィールは以下のサイトを参照されたい)
https://www4.nhk.or.jp/radio-taisou/22/

幅しげみさん

 まずは幅しげみさん。なんといっても元気がいい。付点の切れがいい。前奏を聴いただけで「あ、幅さんだ」とわかるので、少々物足りなくてつまらないほどだ。その他の特徴としては、第一と第二の間の首の運動のときの首を回す音楽が、16分音符である。

加藤由美子さん

 加藤由美子さんと名川太郎さんは聴き分けが難しい。両者ともリズムが俗にいう「付点が甘い」。首を回す運動のところは8分3連符を使っている。かなり似ているのだ。
 加藤由美子さんの演奏は、たとえて言えばバラの花束のような華やかさがある。音楽に色があり豪華で美しい。だいたいラジオ体操第一でそれがわかる。

名川太郎さん

 他方、名川太郎さんの演奏は、洒脱でロマンティックだ。夜、しゃれたバーで一人でピアノの弾き語りでもさせたら最高の酒の友になる気がする。
 お二人の決定的な違いは、第二体操の5番目、横伸ばし運動のダンパーペダルの使い方だ。ここだけを聴いても完全に聴き分けることが可能である。あと、加藤由美子さんは首の運動の時、時に季節の音楽をアレンジして弾いてくれる。(名川太郎さんのお写真は、あとで述べる理由でサイトに掲載がないが、なかなかダンディーな初老の男性である)

能條貴大 さん

 と、ここまで読んで「あ、もう名川さんは出演してないよ」と指摘してくださったあなた。あなたこそ、私を超えるヘンタイである。そう。名川太郎さんは一昨年の3月にすでに引退している。そして現在は、能條貴大(のうじょう たかひろ)さんという若手の男性が演奏しているのだ。この方の特徴は稿を分けていずれご紹介することにしよう。

 というわけで、どうでもよろしい、かなりヲタクなお話である。(了)

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