2021年も残り2カ月。自然と1年を振り返る気分になる。ちょっと早いかな(笑)
ふと思いついて、会社の引き出しから、黒表紙のA5判のスケジュール帳(保険会社からのサービス品)を引っぱり出した。今年どころか、頭は昨年、一昨年へと引っぱられていった。…そうそう、そんなこともあったな…これ、なんて書いてあるんや…この時はマジ失敗したな…やろうとしてできてないことのなんと多いことか…とりとめない思いに浸る。
今度はスケジュール帳の下から、A6サイズ(ワイシャツのポケットにちょうど入る大きさ)の何冊もの小さなノートが、くたびれた顔を見せた。これにまた、手が伸びる。
最後の日付は「2018.6.16(土)」
そうか、3年あまりノートを更新していなかったのか。
表紙に「記」と記したノートには、新聞や雑誌や本などで目にしてうなずいた話、会話の中で心に残った言葉などを日付とともに記している。めくりながら、時には目の前の仕事を捨てて、記入に没頭したことなど、つらつらと思いが巡った。
「本当に大切なものは、失った時にしか気づかない。それを失う前に気づくのが大人だろう」
(外尾悦郎 サグラダ・ファミリア主任彫刻家)
「成功は人間の表側を飾るに過ぎないが、失敗は人間の内面を豊かにしてくれる。自然は人間の成長の為に失敗を用意してくれた」
(三浦朱門)
「仕事が楽しみなら人生は極楽だ、仕事が義務なら人生は地獄だ」
(ゴーリキー)
「 この世をば、どりゃお暇(いとま)に線香の 煙と共に、はいさようなら」
( 『東海道中膝栗毛』の作者・ 十返舎一九)
齢55歳。とっくに人生の折り返しを過ぎている? のに、大した哲学もなく、その場しのぎで生きてきたような気がする。まことに恥ずかしい限りだが、それでも、折に触れ見聞きしたことから書き留めてきた言葉が、多少なりと自分の心を育ててくれてきた、人生行路を導いてくれた、という思いもある。
毎日いただく食事が自分の身体を作っている、と言えるとすれば、日々刻々に目にし耳にする言葉が心を育てると言えるかもしれない。そこで問題なのは、目から耳から入れた言葉をどのように咀嚼して栄養に変えるか? というところだろう。どのように味わうか、味わえるか。
「脳科学から言うと、老化というより進化。 56歳から脳は〝真の成熟期〟に入るのですが、それは、人の脳が28年ごとに位相が変わるようにプログラミングされているからなんです」
「いよいよ56歳を迎えると、誰もが人生の達人になっているんです。ひらめき、判断に迷いがない。積み重ねてきたことが花開いて、どんどん自由になり、楽しむ人生が待っています」
(黒川伊保子 人工知能研究者、脳科学コメンテーター)
56歳まであと2カ月。人生の達人になるには、あまりに積み重ねが足りないような…
ま、嘆いていてもしょうがない。新しいA6ノートを買った。3年ぶりに「メモ書き」を再開した。