ステキな陰暦の話 1

今回から私の当番のときは、シリーズで旧暦(陰暦)の話を編集日誌に書きたいと思う。全7~8回を予定しているが、興が乗れば延びるかもしれない。

そもそも陰暦って何?

 

日本で旧暦と言われているのは正確には「太陰太陽暦」という、太陰暦の一種である。太陽暦は現在使われているグレゴリオ暦のことで、太陽の運行をもとにした暦。他方太陰暦とは月の運行をもとにした暦のことだ。
厳密な太陰暦だと、季節と月の名前がだんだんズレてくる。なぜズレるのか。月の運行だけで暦を作ると、月の1ヶ月(新月から新月まで)が29.5日しかないので1年12ヶ月が354日しかなく、太陽暦に比べて1年で11日も足りないからだ。このままだと3年でおよそ1ヶ月ズレる。18年で半年ズレる。真夏なのに1月なんてことも起こってしまう。こんな不便な暦は、現在ではイスラム暦(ヒジュラ暦)に残っているだけである。それも日常生活に使うのではなくて、もっぱら宗教儀式に使っている。

太陰太陽暦とは?

では日本の旧暦である「太陰太陽暦」とは何か。これはこの季節のズレを食い止めるためにおよそ3年に一度、13ヶ月の年を作るというもの。この余計に足された月のことを「閏月」と呼ぶ。この閏月が入るタイミングも厳密に定められている。その根拠として使われたのが二十四節気。この二十四節気とは、太陽の動きをもとに定められている。1年を春夏秋冬に分け、その一つをさらに6つに分けた。例えば現在でもよく使う「夏至」「冬至」「春分」「秋分」なども節気のひとつだし、「立春」「立秋」や「啓蟄」「白露」なども節気である。この節気の現れ方で閏月が決められるが、ここで詳しく説明すると、ややこしくて続きを読んでいただけないので(笑)割愛する。それは本稿の目的ではない。知りたければ「閏月の置き方の規則」などで検索してくだされば、解説したサイトがたくさん現れる。

陰暦はステキなのだ

私が書きたいのは、月の運行をもとにした陰暦がいかにステキか、ということについてである。考えてみて欲しい。私たちの生活に影響を及ぼしているのは、太陽の動きだけではない。太陽暦で分かるのは「せいぜい」季節くらいのものだ。「せいぜい」と書いた。そう。せいぜい、なのだ。しかもそれは日本の旧暦の二十四節気で代用できる。例えば春分は昼と夜の長さが同じになる日。立春から八十八日目が八十八夜。このように季節は旧暦の二十四節気でまかなえるのだ。

日本に根付かなかった?太陽暦

そもそも太陽暦がグレゴリオ暦と呼ばれるように、制定したのはローマ教皇グレゴリウス13世。1582年のことだ。その前はユリウス暦といって、制定したのはあのジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)である。できたのは紀元前。
少なくとも宝暦の改暦(1755年)の段階で、西洋の天文学と暦法は知識として日本に入ってきていた。ではなぜそれが日本に根付かなかったのか。答えは簡単。太陽暦が不便だったからだ。

陰暦の何が便利なの?

では逆に陰暦の何が便利なのか。陰暦で何が分かるのか。
いやいや、それどころではない。陰暦でないと分からないことがたくさんある。

この答えを含めて、続きは次回。

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