ステキな陰暦の話 3

前回の話で、旧暦はずっと日本人にとって生活上欠かせないアイテムだったのはおわかり頂いたと思う。

「今日は旧暦の何日?」

便利な旧暦を手放してしまった現代人は、それゆえ、「今日は旧暦の何日?」という会話を付け加えなければならなくなった。特に海のそばで生活する人々は、なおさらである。うちの近所(有明海沿岸地方)でも「今日はフル(旧暦)の何日かい?」というのが、ひんぱんに人々の口の端にのぼる。海を生業にする人の家の壁には陽暦のカレンダーとともに、漁業協同組合が作っている「潮汐表」が必ずかけてある。何のことはない、月齢表と干潮、満潮時の水位が書かれてあるだけだ。昔だったら旧暦の暦で事足りたはずである。

潮干狩りのお客さん

うちの教会が有明海沿岸なので、昔はよく潮干狩りの案内をした。
(※注 今は新型コロナウイルス感染症の関係で潮干狩り自体を自粛している)
「潮干狩りに行きたいのだが・・・・・・」と相談を受ける。「ゴールデンウイークの何日に行きたい」とご自身の都合をおっしゃるのだが、ちょっと待って下さい、と慌てて旧暦カレンダーを見る。潮干狩りは人間の都合だけではできない、ということをできれば理解しておいて欲しい(笑)

月に影響される人間

生物の習性に、月の満ち欠けが影響しているのは、これも前回書いた。人間だって生物である。月の満ち欠けに影響されないはずがない。女性の生理の周期は28日前後の人が多いと思う。月の公転周期とほぼ同じである。また人は満ち潮の時に生まれて、引き潮の時に息を引き取るという言い伝えがある。科学的な根拠はないそうだが、それくらい潮の満ち引きは人間の生活に影響を及ぼすと思われていたのである。

ルナティック

ルナティックという言葉がある。ルナ=月のことである。西洋では月が人間を狂わせると信じられてきた。ルナティックとは「狂気じみた」という形容詞である。そういえば、こうこうと夜空を照らす満月は、なんとなく心を昂ぶらせるようで、ルナティックという言葉が生まれたのも分かるような気がする。
また、狼男は西洋の妖怪である。昼間は普通の人間だが、満月の光を浴びると狼男に変身する。これなども、月と人間の精神性を象徴している証拠であろう。

アポロンとアフロディテ

余談だが、西洋では太陽神が男性神のアポロン、月の女神がアフロディテである。ここが天理教と違う。おやさまがお教え下された教えは「くにとこたたち」が月で男性の理、「をもたり」が日で女性の理である。

次回へ続く

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