写真は人生の大切な記録 -「写真のハッピー」―


「師匠は厳しかったですよ」

「写真のハッピー」2階スタジオ。椅子に座る中年男性に向かって、福田好子さん(59)がカメラをかまえます。「瞬間」を逃してはならないと、その目が熱を帯びていきます。
「いい感じですよ~」
 声をかけながら、パシャパシャとシャッターを切る。一息おいて、照明の調節機械を操作すると、またシャッターを切る。男性の肩から力が抜けていき、ぎこちなかった表情が生き生きとしてくるのが、はた目にもわかりました。
 これが、プロの技というものなのでしょう。

 天理生まれの福田さんは、小学生のころ、小遣いをためて小さなカメラを買って友達を撮影し始めてから、カメラにはまったそうです。「よろこんでくれるのが、うれしかった」。その後、福田さんは専門学校をへて、20歳から天理の歯科医院で働き始めました。家から職場までの道中にあったのが、当時、天理教教会本部の西にあった「写真のハッピー」でした。
 フィルムの現像に立ち寄るうちに、自然と写真談義に花が咲き、経営者のご主人と親しくなりました。23歳の時、結婚します。

 天理高校二部(夜間部)を卒業後に就職したご主人は、職場の旅行で事故にあい、けがから仕事をつづけられなくなり、退職しました。高校時代に兄からもらったカメラで写真を始め、依頼されて撮影することもあったご主人は、カメラの技術を生かして生業にしようと決意し「写真のハッピー」を設立します。舞台関係の撮影依頼も多く、俳優の仲代達矢さんが主宰する「無名塾」(俳優養成所)の舞台公演で仲代さんを撮影したこともあったということです。

「師匠の主人は、厳しかったですよ」
 ふと遠くを見つめるように、福田さんがつぶやきました。
「カメラ」を通して結ばれた夫婦は、師弟でもありました。結婚式場で写真を撮りながら、福田さんはご主人が撮った写真と自分の写真はどこかちがう、ということに悩みます。ご主人は、写真に関してとにかく厳しかった。自ら学ぶ姿勢を福田さんにも求めたようです。お客様の前でも厳しく指導を受け、もう帰ろうか、と思ったことは何度もあったということです。

「その人らしさ」をどうしたら引き出せるのか?
 悶々とした思いを抱えた彼女は、新郎新婦の着付けなどで来られる美容師の先生に相談しました。
「自分の感性って、何やと思う?」
「見方と考え方やで。それが感性というものを作る。見方と考え方、それって変わるやろ?」
「何かちょっと気づくことを大事にしていったら、感性は磨けるよ」
 その言葉を常に意識してカメラを手にするようになると、小さな“気づき”が増えていきました。気づきから得たものを心で耕しました。やがて、撮影の空気を作り出す、お客様への一言も自然と変わっていたそうです。

子どもたちの大切な思い出をよりよい形で残そうと パソコンに向かう


人生の荒波

 夫婦として師弟として10年の月日が流れました。その間、二人の子どもにも恵まれました。ところが、忙しくも幸せな日々は、ある日とつぜん崩れます。
 ご主人が車を運転中、割り込んできたトラックに巻き込まれて車は大破、奇跡的に命は取り留めたものの、片目は失明、4回もの手術を受けました。
 従業員のみなさんの支えもあり、仕事が滞ることはありませんでした。家族や従業員の前では笑顔でいようと決めて、毎日、仕事が終わると子どもたちを寝かしつけ、本部神殿で額づいてからご主人のもとへ足を運ぶ日々でした。

 時を同じくして福田さんに3人目の懐妊が発覚。ご主人は事故から3カ月で退院。その後出産、と怒涛の1年が過ぎ、やっと平穏無事な日々が戻ってきた半年後、ある日、ご主人は末期がんの宣告を受けます。2カ月後、福田さんが病室でおさづけを取り次ぎ、帰ろうとした瞬間、ご主人は出直しました。52歳でした。

 実家の両親はすでになく、一信者から熱心な信仰を見込まれ、担任者のいない事情教会の会長をつめていた義母もいません。多忙なご主人から「欠かさずに」と言われて、月次祭でおつとめをつとめさせていただいていました。義父は体調を崩して入院中。誰にも相談できない、頼れる人がいないと落ち込みましたが、ご主人が築いたお客様とのつながり、従業員のみなささんの働きで支えられ、「私は独りじゃない」と心に力が湧きました。

「主人が、一から築いたものをこのままなくすのは寂しいと思って」
 福田さんは、事故の1年前に新築した店の改装に取り掛かります。自分の決意を形で示すために。同時に、ご主人が子どもたちの成長を見られなかった分、
「私が父となり母となって、立派に育ててみせる」
 と亡きご主人に誓ったのでした。
 

大切な瞬間を一番いい形で

「一本のフィルムで、何回足を運んでもらえると思う?」
 ご主人はよく、そう言っていたそうです。デジタルカメラの前の時代、ご主人はフィルムを現像しに持ってこられるお客様に、カメラのことや撮影のポイントなどを、とにかく親切に教えてあげていました。福田さんを支えたお客様とのご縁の糸を、ご主人はしっかり残されたのだと、わたしは思いました。

 福田さんは、撮影に行く前に必ず天理教教会本部で参拝し、教祖・中山みき様の前に額ずきます。20年以上前、ご主人の旧友である教会長様から、
「撮影に行く前に必ず参拝に行くように」
 とアドバイスされたそうです。「親神様・教祖に、一日の流れを詳細に申し上げなさい。先回りしてたすけてくださるから」と。おかげで遠方での大規模な撮影も、道中無事に、機材のトラブルなどもなく無事させていただくことができてきた、と言われました。
「こちらの姿勢が相手に映るんです」
 福田さんの言葉の裏には、神様につながって仕事をさせていただく、という姿勢が貫かれているのだと思いました。

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 幼稚園から中学生まで、卒業アルバムの写真の依頼は数多くあります。リラックスして映ってもらいたくて、アニメなど子どもたちの興味ある情報を収集し、それぞれの年代にあわせた「つかみ」の話をするそうです。この時が一番、「冷や汗もの」だそうですが……。

 天理教教会本部での結婚式。大教会の周年記念の撮影など、ご主人が残したご縁の糸に、福田さんが紡いだ新たな糸が織り込まれて、「写真のハッピー」の輪は広がりを見せています。
 また、コロナ禍で、新たなスタイルの撮影依頼もあったと言います。新潟の人から依頼を受けて、奈良にいる両親との会食の様子を撮影してほしいと、飲食店へ行くこともありました。遅くなった「初参り」に、家族で着付けをしてから、本部での撮影依頼もあります。
 
「写真は人生の大切な記録です」
  ハッピーのモットーを胸に、今日も福田さんはカメラを手にします。大きな節を乗り越え、人の痛みがわかる福田さんだからこそ、胸に、その大切な瞬間を一番いい形で残してあげたい、という思いがあふれているのだと思います。
 結婚した子どもたち家族、孫たちの成長をよろこびとして、一つひとつの人とのご縁を大切に、これからも福田さんはおぢば・天理で、「写真のハッピー」から「人生の大切な記録」「よろこびの瞬間」を届けていかれることでしょう。

写真スタジオ ハッピーエンゼル

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奈良県天理市前栽町47-1

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0743-63-5310 営業時間 9:00~18:00 定休日 第1・2日曜
奈良県天理市三島町124

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この記事を書いた人

図書出版養徳社 編集課長
養徳社に勤めて30年。
2020年から養徳社が激変‼️YouTubeチャンネルが始まり右往左往。
Web magazineも始まり四苦八苦。読者の方が読んでよかった、と思っていただける記事を目指します。
趣味は自家製燻製づくりの55歳です。